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確定申告にお困りの方へ(法人) / 個人事業より法人の方が税金が多い?

先生! わたし、考えてみました。 個人事業主になるのと、ひとりで会社を立ち上げるのと、どちらがよいのかと。
それで、新人君はどちらがよいと考えたのですか?
会社です! 「社長」と呼ばれたいです。カッコイイから! でも、法人の場合は、個人にかかる所得税や住民税のほかに、 会社に対しても税金が発生しますよね?
そうです、その通りですよ。
ということは、会社の方が課税が多くて損ですよね。 個人事業主の方がお得なら、社長は諦めた方がいいのかな……。
おやおや、会社の方が税金が多くなると決めつけるのはいけませんね。 課税対象となる税率や条件が異なるので、一概にはいえないのですよ。
では、会社を立ち上げた方がお得という可能性も考えられるのですね! 先生、もっと詳しく教えてください!
では、個人事業と法人の税金について、勉強してみましょう。
1. 個人事業主の税金と法人の税金
2. 税額シミュレーション
3. 考え方のめやす

では、ひとつずつ解説していきましょう。

確定申告にお困りの方へ(法人) /
個人事業より法人の方が税金が多い? ポイント解説

1. 個人事業主の税金と法人の税金

日本の法人への課税は、諸外国に比べて重いという認識が定着しているようです。
世界の税率を調査する場合、実効税率で比較されることが多いのですが、実際には税法も異なり、一概に数字だけの比較では何ともいえません。

吉澤会計事務所にも、以下のようなお問い合わせが届きます。

・ 法人化すると課税が増えるから、個人事業の方がよいですか?
・ 売上がいくらまでなら、個人事業のままでいられますか?

これらの質問への回答は、常に決まっているものではありません。
行っている事業や売上、条件等によって異なるため、それぞれのケースでシミュレーションし、検討する必要があります。

参考のために、個人事業主の納税額と、ひとりで運営している法人の納税額をシミュレーションしてみましょう。

個人事業主の場合

所得税、住民税、個人事業税(長野県は所得が290万円以上の場合)が課税されます。

法人の場合

法人税、法人住民税、法人事業税が会社に対して、所得税と住民税が個人に対して課税されます。

個人事業の場合でも、法人の場合でも、ひとりで行っている場合は、これらの税金を支払うのは同じひとりの人間です。
よって、ひとりの人間にかかるすべての税金を踏まえたシミュレーションを行ってみましょう。

2. 税額シミュレーション

シミュレーション用の条件を以下のように設定し、計算してみましょう。

[ 納税額シミュレーションの設定 ]

  • 個人事業は青色申告(65万円控除)とする。
  • 所得控除は基礎控除(38万円)のみとする。
  • 自宅で事業を行っているものとし、その住所は長野県松本市とする。
  • 比較のため、個人事業の所得と同額を役員報酬とし、法人所得はゼロとして計算する。

所得ごとの変化をみるため、3段階の所得で計算してみます。

[ 所得が300万円の場合 ]

個人事業 法人
所得税 99,500 所得税 77,000
住民税 206,000 住民税 163,000
個人事業税 5,000 法人税 0
    法人住民税 71,000
    法人事業税 0
個人合計 310,500 法人合計 311,000

この場合は、個人事業でも法人でも、ほとんど差がありません。
法人の場合は給与所得となるため、給与所得控除の適用となります。その結果として、法人の方が所得税と住民税が安くなりました。
反面、利益がゼロのため法人税および法人事業税は課税されませんが、法人住民税は利益の有無にかかわらず均等割の7万円が課税となるため、最終的にはあまり変わらないという結果となりました。

[ 所得が500万円の場合 ]

個人事業 法人
所得税 366,500 所得税 210,500
住民税 406,000 住民税 317,000
個人事業税 105,000 法人税 0
    法人住民税 71,000
    法人事業税 0
個人合計 877,500 法人合計 598,500
法人の方が279,000円納税額が少なくなる!

この場合は、法人の方が明らかに安くなりました。
個人の場合は青色申告特別控除の65万円ですが、給与所得控除は190万円になるため、大きな差に繋がります。
また、利益がゼロのために法人税と法人所得税への課税がないことも、大きな差に繋がった要因といえます。

[ 所得が1,000万円の場合 ]

個人事業 法人
所得税 1,427,100 所得税 1,070,600
住民税 906,000 住民税 751,000
個人事業税 355,000 法人税 660,000
    法人住民税 184,180
    法人事業税 116,600
個人合計 2,688,100 法人合計 2,782,380
個人の方が94,280納税額が少なくなる!

この場合は、逆転してしまいました。
平成18年度の法人税法の改定により、実質的に個人と変わらない1人会社について、その代表者の役員報酬のうち、給与所得控除額に相当する金額が損金不算入となる制度が設けられたためです。

代表者の給与所得が800万円を超える場合は、役員報酬で控除される給与所得控除額が法人所得に加算されます。
そのため、いままでのように法人所得(利益)がゼロにならず、法人税と法人事業税が課税されます。
この制度の適用により、逆転の結果となりました。

3. 考え方のめやす

税額シミュレーションにおいては、1,000万円を超えた場合は個人事業の方が節約できるという結果になりました。
しかし実際には、所得が増えることは仕事量が増えることです。ひとりではまかないきれなくなり、従業員を雇うという選択を視野に入れるでしょう。
そうなると、ひとりの場合とはまた違った計算が必要なため、シミュレーションも変わってきます。個別のケースにおける比較がどうなるかは、緻密なシミュレーションが不可欠です。

個人と法人の税金の比較ついてご案内いたしましたが、ご不明な点・ご相談等がございましたら、お気軽に吉澤会計事務所までお問い合わせください。

税理士法人吉澤会計事務所
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